この手を握りたかったから
そんなのすっかり忘れてた。

でもこういう共通の話題があるって、同級生ならではだから、すごく嬉しい。



「あれやるのに、行く前に学校で練習してたじゃん。そん時さ、いつも背の順でやるから、何回やってもお前の所まで辿りつかないの。」

「そうか。悟、背の順、いつも後ろの方だったもんね。私、ちっちゃいから、回って来なかったかも。」

「でしょ? 仕方ないと思ってたんだけど、本番の時、時間余ってたからなのかな、なぜかエンドレスでいつもより長くテープがかかってて、あと一人の所まで来たの。なのに、曲の切れ目でも何でもない所でいきなりテープ停められちゃって、結局、ギリで踊れなかった。」

「ふっ、ふふふふ........。」

「手、繋げると思って、すっげードキドキしてたのに。」

「そうなんだ。ごめん、あんまり憶えてない。」

「俺だって、そんなことがなきゃ憶えてないよ、きっと。」



そんなカワイイ思い出話に笑いながら、手をしっかりと握り合う。

手を繋ぐなんて当たり前のことだと思っていたのに、今の話を聞いたら、特別ステキなことのように思えて来るから不思議だ。
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