華美月夜
頭の上からつま先まで観察していると、胸元に下がった石に目が止まる。
「……癒石、?」
声に出して、石の名を口にしてみると、目の前で目を見開く顔があった。
(まさか)
声だけは届くとか…?
気のせいかもしれないが、目の前で挙動不審に辺りを見回す行動を見ればそう思ってしまう。
(もう、一度だけ)
緊張で震える声を絞り出して、喋る。
「……あ、の」
目が。
合ってる。
「き、こえ…てますか」
高鳴る鼓動が、自分の声を掻き消してそうだ。
目を見開いたまま、ゆっくりと、頷いた。
確かに今、目も合っている。
「ボクは、見、えて…ます、?」
「……は、い」
掠れた声で確かに返事をした。
「ボクは、齋藤…夜珱、というんです。…貴方は?」
「…ボクも齋藤夜珱」
それを聞いて、フっと、力が抜けた。
「やっぱり貴方は“ボク”だったんだ」
力なく、微笑む。“ボク”もつられて優しく笑う。
「……癒石、?」
声に出して、石の名を口にしてみると、目の前で目を見開く顔があった。
(まさか)
声だけは届くとか…?
気のせいかもしれないが、目の前で挙動不審に辺りを見回す行動を見ればそう思ってしまう。
(もう、一度だけ)
緊張で震える声を絞り出して、喋る。
「……あ、の」
目が。
合ってる。
「き、こえ…てますか」
高鳴る鼓動が、自分の声を掻き消してそうだ。
目を見開いたまま、ゆっくりと、頷いた。
確かに今、目も合っている。
「ボクは、見、えて…ます、?」
「……は、い」
掠れた声で確かに返事をした。
「ボクは、齋藤…夜珱、というんです。…貴方は?」
「…ボクも齋藤夜珱」
それを聞いて、フっと、力が抜けた。
「やっぱり貴方は“ボク”だったんだ」
力なく、微笑む。“ボク”もつられて優しく笑う。