華美月夜
✱ ✱ ✱ ✱ ✱ ✱
「本当に、記憶が無いのだな」
「……はい」
琴乃に引っ張られ、ボクはこの世界の父親の下に連れてこられた。
「―――本当らしいな。琴乃以外、一人も名前を答えれんとは」
父は皮肉にも続けて言う。
「しかもそれを覚えているのは名前のみ、か。しかしそれはかえって好都合だ」
「…今何と」
好、都合だと?
「本当に、記憶が無いのだな」
「……はい」
琴乃に引っ張られ、ボクはこの世界の父親の下に連れてこられた。
「―――本当らしいな。琴乃以外、一人も名前を答えれんとは」
父は皮肉にも続けて言う。
「しかもそれを覚えているのは名前のみ、か。しかしそれはかえって好都合だ」
「…今何と」
好、都合だと?