桜、舞い散る中で


驚いて、彼の方を見てみると
眠っていると思っていた颯太が、私の方を見上げながら私の手を
握り返していた。


「それは・・・いつかは、ね。」


欲しい。
欲しいに、決まってるじゃない。
大好きな人の子供を産んで、家族になって
いつまでも仲良く生きていきたいもの。


「じゃぁさ、つくろっか。」
「え?」
「・・・俺達の、こ・ど・も」


むくっと起き上がって、耳元でささやかれる言葉。
耳にかかる息がくすぐったくて、首をすくめてしまう。
なのに、左手は握られたまま。


「いや?」
「そんな訳・・・」
「じゃ、受け取ってくれる?」


そう言って、さっきまで握っていた私の手に
小さな箱を乗せた。


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