桜、舞い散る中で


目の前には、広間の中心に大きく枝を広げる枝垂れ桜が
満開になって咲いている。
それが時折吹いてくる風に揺られて、ピンク色の花ビラがひらひらと
舞い落ちていく。


「綺麗だね。」
「そうだね・・・ね、早く食べようよ。」
「ふふっ。颯太は花より団子かぁ。」


お弁当箱を取り出すと、颯太に渡した。
待ってましたと言わんばかりに、お箸を取り出しお弁当のふたを開ける。


「あれ、舞衣は食べないの?」
「元々1人分しか持ってきてなかったし、颯太全部食べていいよ。」
「でも・・・じゃ、はい。」


そういって、お箸に摘まんで私の口元に差し出された卵焼き。
これは、真坂このまま食べろって事かな?


< 8 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop