老いたる源氏
タイトル未編集

あらすじ

 最愛の妻紫の上が亡くなった後光源氏は出家します。嵯峨野に庵をむす
んで毎日法華経を読誦しています。60歳間近でたぶん糖尿病だったと
思われます。

目はほとんど見えません。そこに長男(藤壺との不倫の実子)冷泉院が
訪ねてきます。

親子の思い出話が始まります。賄(まかない)の老婆(花散里?)が
こまめに酒の肴を運んできます。老婆は時々うなづいて話を盗み聞き
しています。

出生の秘密や源氏の恋物語が自慢話として息子に披露されます。
次に葵上との実子近衛大将夕霧が訪れます。

なき親友柏木にまつわる思い出話が続きますが源氏と女三宮の子薫が
実は柏木の子ではないかとの厳しい追及が続きます。

翌日今度は養女の玉鬘(たまかずら)が訪ねてきます。母夕顔がなぜ
行方不明になったのか。源氏は母を愛していたのか?を聞き出します。

つづいて明石の中宮がやってきます。源氏は孫の匂宮がかわいくてた
まりません。そのやんちゃぶりは昔の源氏そっくりです。中宮はなぜ
8年間も実の母と別れて暮らさなければならなかったかを悟ります。

最後に秋好む中宮(梅壺の中宮)がやってきて母御息所と源氏のなれ
そめを聞き出します。今は薫を引き取って大事に育てています。しかし
薫の話になると老いたる源氏はどうしても不機嫌になります。

夕霧が再び訪れて法華経の教えを請います。源氏は喜んで説法を始め
ますが、そのうち体調が急変してついに源氏は臨終を迎えます。

親族が集まり化野(あだしの)への野辺の送りに修行中の薫だけが間に合いません。
荼毘(だび)の後「父上ーっ!」と叫びながら馬に乗ってやっとあらわれました。

その時暗転して冥府で源氏が薫の声に恨みを込めてよみがえります。
薫の実父柏木も同時によみがえり二人は魔王と白鬼になって戦います。

天空から二人は孫の匂宮と実子薫とをけなしたり励ましたりして
地上の展開を見守っています。

若い二人のはざまで浮舟が入水の時には天空の二人はまた取っ組み
合いになります。

記憶喪失になって浮舟が生きていることが薫に知らされます。
薫はそっと尼寺を訪れます、浮舟の末の弟をつれて。

「どこかで見たような気もしますが、お人違いでしょう」
そう言って出家した浮舟は手渡された文を押し返します。

天空の二人はそれを見て大きく溜息をつきました。
「諸行無常 是消滅法 消滅滅己 寂滅為楽」
の声が天空に響き渡ります。
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