老いたる源氏

秋好む中宮5

「子たちは皆仲良くしておるか?」
「ええ、先日も明石の中宮様のところへお邪魔いたしました。
匂宮と姉の一の宮様、ちょうど夕霧様もお見えでその姫君と
薫が遊んでおりました」

「おお、いまいくつになる?」
「一の宮様七歳、匂宮様と夕霧の姫君が六歳、薫は五歳です」
「ほう、もう紫上が亡くなってそんなになるのか」

「全くもう目が離せません。とにかく匂宮様がやんちゃすぎます。
わがままで独占欲が強くてすぐ泣くし、ふてくされるし大変です」
「誰に似たのかのう?」

「薫は全く逆でおとなしくなんとなく品があって控えめで一つ下の
せいかでしゃばりません」
「おやばかじゃ」
「匂宮はやんちゃですが薫は貴公子です。いい香りがして女の子のよう
まるで昔の光源氏とかいうお方にそっくりですよ」
「おやばかじゃ。そんなわけはないじゃろう」

源氏はむきになります。薫の話になるとなぜか源氏は不機嫌になるので
、夕霧様の時もそうだったと女房達にも聞いているので、あまり気には
しませんが、久しぶりの父との会話、母のことも聞いたので中宮は薫の
ことをしゃべり続けます。

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