老いたる源氏

浮舟3

「薫はかなり強引じゃなあ、今回は」
「どなた譲りか知りませんが匂宮の不埒な行為に
中の君の例もありますので早めに手を打った」

「なるほど。薫はどこか間が抜けておるからなあ。
うまくいけばいいが・・・・・」

天空の二人は心配顔で地上を見つめておられます。

そうしたある日薫の君から中の君へののお手紙を
匂宮は見つけてしまいます。その中身で薫の君が
姫をかくまっていることがわかってしまいます。

何とかして会いたい。どうしても会いたい確かめたい。
と匂宮はいてもたってもいられずにお忍びで薫の君
のふりをして姫の寝所に侵入します。

姫は人違いだとは分かりましたがその手慣れた愛撫に
女の喜びが目覚め、もう匂宮のとりこになってします。

「ああ、無常。どうする柏木?」
「ええ、罪作りなあなたの血筋であられます」
天空で二人は後の悲劇の予感に、姫浮舟を憐れみます。

また日を改めてと宮は後ろ髪を引かれる思いで京に戻ります。
さあどうしたものか?薫の君も匂宮も京に姫を住まわすべく
急いで住居を準備しようとなさいます。

そうした二月の半ば宮中で詩を作る会が催され、お二人は参加
されます。薫の君の詩が宇治を偲ぶ内容だったのに気づかれた
匂宮は次の日雪の舞う中を馬で宇治へと駆けられました。

文はありましたがまさかこの雪の中ではと思っていたところへ、
泥だらけの格好で駆け付けた匂う宮、息を切らせ体からは湯気が
立っていました。情熱的な宮の御心に姫は身も心も宮のもとへ。
< 60 / 65 >

この作品をシェア

pagetop