初彼初狼
第一章
狼の 接近
「本日からこちらに配属されることになりました、神戸です!
いたらない所があるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします!」
会社規模100人超えの中小企業に入社した、私 神戸ミホ。
『神戸ちゃん。ちょっとこのコピー頼まれてくれる?』
「・・・ハイ!」
『早くね。FAXもしておいて。』
「あ!ハイ。・・・でも・・・ドコに・・・?」
・・・いない。
どうしたら良いんだろう。
『ココに、書いてあるだろう?』
頼まれた書類をじっと見ていた私にふってきた、男の人の声。
ハッと見上げれば、岡野さんが居て。
『ココ。』
その視線は、すぐに書類に落とされる。
「・・・あ。」
客先が書いてあった。
そりゃ、そうか。FAXするんだもんね。
まだ、良く分からない。
『すみません。助かりました。』
御礼を言って見上げれば、姿はもう
「・・・いない。」