初彼初狼

「あの・・・・」


『神戸、ちょっと良いか?』


御礼と、なぜ?を聞きたかったけど
誘われるまま、主任に着いていった。


会議室に入った私は、主任に促されるまま席につき

静か過ぎるこの空間に耐えかねていた。


ドアを閉めて私の前に椅子だけを持ってきた岡野主任は、何を話すわけでもなく、
机の上で手を組んだ私の指を見ていた。


恥ずかしくなって手を机に隠した

その瞬間


『神戸』

咎めるような、声音。

「はい・・・」


こわい



『今日から、俺が、教育してやる。』

・・・え?


『お前、今の教育担当は誰だ?』

「・・・アサノさんです。」

『そうか。アサノか。じゃあ・・・アサノは、そのままで良い。』

・・・え?


『仕事が終わったら、俺が、神戸を教育してやるよ。』




赤ずきんちゃんが狼に狙われた、その時。
あかずきんちゃんが ソレに気がついていれば
食べられずに済んだのかも しれない

そんなの 今更だけど



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