初彼初狼

お互い 仕事の話や今度の週末の飲み会の話をして、駅で別れる。


改札を通ろうと、いつものカードを出そうと、バックを漁る・・・が


「・・・っない」


うそ うそ

落とした!?


必死に記憶を辿る


・・・あの時だ


今日はこまかいお金がなくて。
だから、自販機で買う時につい、そこから支払って・・・

机の上!


「・・・会社戻らなきゃ、最悪。」


まだ定時後1時間も経過していない為、まだ結構な人は残っていた けど


――営業一課――


そう掲げてあるドアの中は少し薄暗くて そんなに人数が残っていない事は確かだ。


「お疲れ様でーす・・・」

なんとも気まづい。

苦笑いをしながらドアを開ける。


『・・・帰ったんじゃなかったの?』

岡野主任の低めの声が 静かな部屋に 響いた。
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