妖精と精霊と人間と
 「ノース様。美香さんと明さんは、この格好では目立ちます。スピリットに向かいませんか?」
 「精霊の村?そこでも目立ちすぎるだろう。でもこの際、贅沢は言っていられないものね。行こうか。」
 ノース―――いや、北斗がそう言って進み出すと、目の前にいかにも柄の悪そうな男達が現われた。その姿を見て、美香があからさまに嫌そうな顔をした。
 「うっわー・・・何こいつ等・・・」
 「シーフ。盗賊ですよ。金銀財宝や、ノース様のような珍しい精霊や妖精の角や毛皮を売って儲ける、あくどい奴等です。」
 美香の後に嵐がそう言うと、その男の一人がこう言った。
 「おいおい、ボブゴブリン如きが何の様だい?俺様は、そっちのユニコーンに用があるんだよ。さっさとどけ!」
 「人間風情がいきがらないで下さい。ノース様には、指一本触れさせませんよ?」
 嵐はそう言うと、短剣を鞘から抜きその男に斬りかかって行った。風流は、峰打ちですよ、と呟いて相手の手首をナイフで叩いた。その結果、相手の手からナイフがこぼれおちた。
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