妖精と精霊と人間と
 「この世に生きる全ての民よ、我に力を。奴を滅ぼすだけの、聖なる力を。セイント・ボム!」
 北斗が呟くと、光りのダイヤモンドの首飾りが光るのと同時に、ディゴリスの体のいたるところが爆発した。それにひるんだディゴリスを、リデロは錬金術で変形させた大木槌で殴った。しかし、彼はリデロを弾き飛ばした。間一髪、飛び掛って飛ばされたリデロを、黒馬は受け止めた。だが、ディゴリスの姿は見えなかった。てっきり、追い討ちをかけてくると思っていたからだ。辺りを見渡すと、北斗を刺そうとしたディゴリスを受け止め、血を流している明の姿があった。
 「北斗、悪いな・・・」
 明はそう呟くと、ズルリとメアラスから落馬した。地表が、どんどん迫ってくる。美香が明の名前を叫ぶと、メアラスが彼を助けていた。美香はイオに乗ったまま、明の元に向かった。そして、小さな小瓶に入った傷薬を彼に飲ませた。スーッと傷が癒えていく。それにホッとすると、ゾクリと寒気を感じた。北斗のほうを勢い良く振り返った。明らかに、彼を取り巻くオーラが変っていた。
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