妖精と精霊と人間と
 「ねえ、明。何か、美香にも買ってあげない?ブラウンやラーグウェイ達にも。」
 そう言って、北斗はにっこり微笑んだ。
 「良いんだけどよ・・・美香は何でも喜ぶと思うけど。ラーグウェイは別だろ?アイツは人間恐怖症・・・だッ?!」
 明が最後まで言い終わろうと言うところで、彼を後ろからラーグウェイが突き飛ばした。
 「誰が、人間恐怖症だと?」
 「明ぁ!うっわー、格好良いねー♪良いなあ・・・」
 「美香、おいで。」
 北斗は笑顔でそう言うと、美香を手招きした。彼女がそちらにトテトテと歩いて行くと、北斗の言葉に従って目を閉じた。スッと腕に何かがはまり、ひんやりとした。驚いて目を開くと、腕に何かがはまっている。丸くて真っ白なムーンストーンのはまった腕輪だ。いつの間に買ったのだろう?と美香は一瞬思ったが、元々秘密が多い人なので気にしない事にした。
 「良いの?!」北斗が笑顔で頷くと、美香は笑顔で続けた。「えへへっ・・・ありがとねん♪」
 「ラーグウェイは・・・やっぱり、いらない?」
 「ああ・・・すまないな。人間の作ったものは、体がうけつけないんだ。」
 「ううん、良いんだよ。」
 「さっ・・・そろそろ行こうぜ?次どこだよ。」
 「次ぎはですね・・・レプシー地方にでも向かいますか?ドワーフの鉱山と、オークの集落がありますよ?」
 皆が頷くと、街のはずれから罵声が聞こえた。ちょうど、レプシー地方へ続く街道の方だった。
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