妖精と精霊と人間と
 「ディアッカ・・・それで、キャッツアイは?」
 「奴の・・・デーモンキングの元に居る。」
 ディアッカはそう言うと空を見上げた。いつのまにか夜になっていた空から、月の光が覗いていた。それを見た美香は、全てを悟ったかのようにこう言った。
 「ディアッカ!一緒に行こう?キャッツアイを取り戻しに。ね?」
 そう言って笑顔を向けた。
 「ああ・・・ありがとう。だが、どうやら無理らしい。」ディアッカはそう言うと、美香にもたれかかった。美香には、彼がゆっくりと砂になっていくのが解った。「美香、とか言ったな?キャッツアイを助けてやってくれ・・・・・・最後に、ラージェルの笑顔が、見たかったな。」
 そう呟くと、彼はサーッと風に乗って飛んでいった。あまりにもあっけなかった。その残った砂を拾い上げると、美香は前に向き直った。目の前に、グロテスクな姿をした人間がいた。いや、人間ではない。ゴブリンだ。身体が小さく色は浅黒い、角と尻尾のある小悪魔だ。
 「あんたが・・・ディアッカを?」
 「小さい人間かと思ったんでさ、魔法使いのお嬢さん。」
 そう言って、ゲギャギャと不気味な笑い声を残す。
 「許さない!」美香はそう言うと立ち上がり、その杖をゴブリンにかざした。「月よ。我にこの者を滅するだけの力を!ムーン・トワイライト・フラッシュ!」
 美香がそう叫ぶと、雲の割れ目から月の光りが注ぎ込み、杖の先が眩しく光った。そして、その光りは辺り一面を太陽のように照らした。日の光りのように明るいその光りで、ゴブリンは灰となった。ゴブリンは、朝日などの光に弱いのだ。
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