妖精と精霊と人間と
 「ごめんね、騒がしくして・・・えっと、貴女は確か・・・」
 「風流嵐ですよ、滝北斗くん。まだ始業式から一ヶ月ですもの、私の事を知らないのもしかたないですよ。」
 そう言って、彼女は微笑した。風流嵐は今年の春に、この中学校に転入してきたのである。程よく日焼けした肌は、彼女が何かしらのスポーツをしているかのように見えた。
 「何で・・・僕の名前を?」
 「あっ!これは失礼。私、ここの図書室によく来るのですけれど、貸し出し図書に貴方の名前が多いので覚えてしまったようですね。すみません。」
 そう言って、また笑う。笑顔が似合う人だな。北斗はそう想って微笑した。
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