妖精と精霊と人間と
 「でも、それでも俺はッ―――」
 「一つ!君にはお願いがある。僕の変わりに・・・今まで通り、あの城を守って欲しい。お願いできるかな?ギルド。」
 ギルドの言葉を押しきって、ノースはそう言った。そして、にっこりと微笑んだ。ギルドは、大粒の涙をこぼした。若き王の言葉が、とてつもなく嬉しかったのだ。嬉しくてしかたなかったのだ。この老いぼれたドワーフを、今でもずっと信頼している事が、何よりも嬉しかったのだ。
 「もちろんです。もちろんでございますとも、ノース様。」
 そう言って涙を拭い、彼は笑った。
 「ねぇ、北斗。どの位ここに居るつもりなの?」
 唐突に、美香はそう聞いた。
 「どの位って・・・美香、何かしたい事でもあるの?」北斗がそう聞くと、彼女はにっこりと微笑んだ。「じゃあ、しばらくここに居るよ。」
 北斗がそう言うと、美香はありがとうと微笑んだ。
< 60 / 218 >

この作品をシェア

pagetop