妖精と精霊と人間と

　「エーントッ♡バンクスの話しだけど、どうなったの？」
　リデロがそう聞くと、エントはこう答えた。
　「それについては、フンババに聞けば良かろう。」
　エントがそう言うと、森林の奥から巨大な牛の姿をした生き物が姿を表した。いや、牛というよりも水牛に近いだろう。黒いその生き物は、北斗たちの前で止まると彼らを睨みつけた。
　「わしの森で一体なあにをしているのだ。エント、なあんで追い払わないのだ。」
　「お前にようがあるんじゃよ、フンババ。」
　エントがそう言うと、フンババは北斗の方を見た。そして、目を瞑り再び開くと口を開いた。
　「嗚呼、居たぞ、居たぞ。ディゴリスのオークの所だ。」
　フンババがそう言うと、北斗は目を丸くした。ディゴリスのオークは、種族が違うだけでも殺し合うオーク達の中で、もっとも野蛮なオークの一種である。ディゴリスのオークは、自分より小さい精霊を襲う習性があるのだ。しかし、デントのように大柄でおおらかなオークが居る事も事実なのである。だからなのだろう。昔から、オークとかかわるのは難しいのだ。
　「デント、思い出した。明後日、でぃごりすの、復活祭。でぃごりす、五百年ぶり、起きる。でぃごりす、起きる、危険。ほびっと、その、生け贄。ほびっと、でぃごりすのおーく、より、小さい。」
　デントがそう言うと、皆は愕然とした。早くバンクス取り戻さなければ、オークの餌になってしまう。