妖精と精霊と人間と

　「ラーグウェイ！ラーグウェイ！」北斗がそう呼ぶと、ラーグウェイはうっすらと目を開けた。「大丈夫？」
　「ああ・・・すまないな。」
　ラーグウェイはそう言うと、立ち上がった。足元がおぼつかない。立っているのもやっとなくらいだ。そこで、北斗はその背にラーグウェイを乗せて前進した。しばらく歩くと、皆は砂浜に出た。遠くに、北の王城・シュベレスが見える。遠くといっても、岸壁の上だ。しかし、その岸壁にはスキュラと呼ばれる怪物がいる。スキュラとは、腰から上が美しい女性の姿で、腰から下に六匹の犬の頭と十二本のその足がついている恐ろしい生き物である。スキュラはその犬の首を長く伸ばして、船乗りの首や腕に噛みつき、食い殺してしまうのだ。
　「どーするの？」
　美香がそう言うと、明がフラフラと岩肌に歩いて行った。そこでは、美しいマーメイドとセルキー（あざらしの皮をかぶっている人間）が、仲良く話していた。