妖精と精霊と人間と
 食事の後、皆は居間に居た。テレビもラジオも無い。電気も街中では無いのであるはずも無いが、ブラウンの魔法で明るくはなっている。テレビやラジオ、MDプレイヤーにPC等の、いつもあるものが無いと言う状況は、こういう生活に慣れていない美香や明にとって、つらい物があるだろう。
 「でー?これからどーする?」
 美咲から美香に戻って彼女がそう言うと、皆は難しい顔をした。
 「とりあえず、明日に向けての作戦会議でもしませんか?」
 ブラウンがそう言うと、皆は頷き、北斗が口を開いた。
 「まず・・・どうやって、ディゴリスのオークの近衛兵を突破するか、だよね?」
 「デント、知っている。でぃごりすノおーく、何かの、前、警備、薄く、なる。その時、狙う、良い。」
 「なるほど、な。んー・・・やっぱり正面からしかないか?」
 デントの後に明がそう言った。
 「とりあえずっ!その・・・んと・・・ホビットを、助ければ良いんでしょう?」
 美香がそう言うと、北斗はにっこり微笑んでこう言った。
 「うん、そうなるね。ラーグウェイ、君の意見は?」
 彼はそう言って、ラーグウェイに微笑みかけた。
 「そうだな・・・まず、正面から中に入る。そして、シルフとウンディーネによって、俺達の姿をくらます。ノームが牢獄の場所を知っているからな、彼にそこまで案内してもらう。そうしたら、チェック・メイト。俺達の勝ちだ。しかし、奴等をあなどるな。ディゴリスのオークは、単純では有るが、けして馬鹿ではない。その鈍い光をはなつ瞳で、暗闇を遠くまで見とおす。それに、警備が手薄になると言う事は、奴等にとって、とてつもない力を持った者が現われる、と言う事だ。そして・・・この勝負、先にぼろを出した方が負けだ。どんな事があっても、奴等の注意を引くような行動はとるな。良いな?」
 ラーグウェイがそう言うと、皆は黙ってこくりと頷いた。
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