あふれる涙のドロップス
「間に合わないって……」
そう言う自分の声がかすれているのには、わざと気が付かないふりをした。
「どこかに連れて行かれちゃうかも!誘拐にもつながっちゃうかもよ!?」
背中にじっとりとした、気持ちの悪い汗がにじむ。
落ち着け、海斗。あいつには、散々な思いをさせられたんだ。
別に、ここで目を逸らしてもいい。
あとで、後悔をすることを恐れないのならば____。
ここで、もう振り向かずに家へ向かってもいい。
葉山やリンと、これからは仲良く出来ないことを、恐れないのならば____。
そして、気づいたら、葉山の電話番号を呼び出していた。
「もしもし」
いつもの葉山の声を聞いた瞬間、僕は事情を話しはじめていた。