あふれる涙のドロップス


 約、一時間後。




 身体は熱く熱く火照り、ぬるりとしたものが、頬を流れているのを感じた。





「葉山……」





 隣にいると思われる葉山に呼びかける。






「あ……あぁ……」






 切れ切れで苦しそうな葉山の声。それを聞いて、僕の手は震えた。



 



「は、葉山……?」






 横たわっていた僕は、思わず起き上がった。頬を流れる汗を拭うと、葉山の顔を覗きこんだ。





 見ると、葉山は苦しそうな表情をしていた。いつも陽気で明るい顔をした葉山からは、考えられない表情だ。





 頬の青紫色になった大きなアザ。唇は切れて、そこから血が出ている。






「はっ……葉山っ!お前……大丈夫かっ!」






「大丈夫だよ、心配、すんな」





 痛々しい顔で、無理矢理葉山は笑った。
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