あふれる涙のドロップス

「葉山くん!葉山くん!!」





 何度も七瀬さんが呼びかけるけれど、葉山くんの応答はない。





「海斗!救急車!」





 そこから立川くんは、ただ頷くと、七瀬さんの言うとおりにした。




 
 どうしよう、どうしよう、とただうろたえるだけのアタシとは違って、七瀬さんは冷静だ。






 汚れちゃったら悪いんだけど、と前置きをしてから、七瀬さんはハンカチを貸してほしいといった。






 はいと言ってハンカチを差し出すと、七瀬さんはさっきと同じように、ハンカチに水をこぼした。






 そして大きなアザができている部分に、冷えたハンカチを当てる。





 そこまでの七瀬さんの仕草を見ていると、なんだか看護師さんのようだった。
 
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