あふれる涙のドロップス

 ごめんなさい、葉山くん_______。




 ボロボロと、涙腺から溢れでた涙が、頬を伝って、スカートの上で握りしめた手の上に落ちる。





 アタシが泣いているのに気がついた七瀬さんが、黙ってティッシュを差し出してくれる。





「ありがとうっ……」





 嗚咽混じりで、変な声になった。




 ありがたく、七瀬さんの貸してくれたティッシュで、目元をおさえる。




 その時だった。





「南。ちょっといい?」




 立川くんが、アタシに声をかけた。




 少し戸惑って、七瀬さんの方を見ると、優しく微笑んで、『行ってきて』と、目だけで言ってくれる。





 先に歩き出している立川くんは、くるりと振り返ると、アタシに、来い、というように顎をしゃくった。





 そしてアタシは、歩き出した_______。
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