あふれる涙のドロップス

「リン」



 不意に、海斗があたしを呼び止めた。



「ん?」



 振り返って、海斗の顔を見ると、海斗は少し微笑んでいた。



「ありがとう」



 ありがとう、ありがとう、ありがとう。

 君のくれた言葉を、何度も心の中で反復させる。



「どーいたしまして」


 あたしはそう言ってぎゅっと海斗に抱きついた。


 おわっ、と叫んで、慌てて海斗はあたしを抱きとめる。

 
 君のことを、好きになれたことが、苦しくなるほ嬉しくて。

 
 君が、あたしのことを好きでいてくれることが、泣きたくなるほど嬉しくて。


 隆は眠り続けていて、あたしはこんなにも幸せでいいのかわからなくなって。
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