あふれる涙のドロップス

 ごめん。海斗の声が、遠くの方から聞こえた。


 大丈夫だよ。あたしは、そう返した。



 あたしのせいなんじゃないかな。あたしが、現れなければ。あたしが、いなければ。


 
 ぐるぐると、頭のなかを、自己嫌悪が駆け巡る。

 
 違うよ、あたしのせいじゃないよ。そう言う、あたしの中の、味方のあたし。


 お前のせいだよ。何とかしろよ。そう言う、あたしの中の、真実を突きつける、あたし。



 思わず、顔を手で覆った。


 泣きだしてしまいそうだった。


 あたしが死んだのは、ちっちゃい時だったから、こんな苦しい体験しなかった。


 まして、今は隆も意識不明という、大変な状態なのだ。



 泣き出す時の、喉の痛みを感じる。


 手が、冷たくなるのを感じる。

 
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