あふれる涙のドロップス

 不意に、意識が遠くなった。



 リン、リン、と呼びかける、海斗の声が、なんとなく、聞こえる。



「おい。リン」



 懐かしい声が、近くでした。



「組長……」



「久しぶりだな」


 あたしの前にいたのは、組長だった。



「幸せそうで、なによりだ」


 不敵に、ニヤリと笑う。



 もうすぐ、あの時期だ。


 そう、なんですか。



 あたしたちの、声が、どこかわからない、全体がまっ白な空間に響く。






 
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