あふれる涙のドロップス
*ばいばい。*
その時、急速に僕の記憶は巻き戻された。
僕も。幼稚園の時に好きだった、女の子のことだ。
「あの時から、縁があったんだね」
泣き笑いの表情で、言う彼女は、確かにあの女の子だった。
「……まあ、あとはお前らだけでやってくれ。あと、一週間で、リンは、君の前から居なくなる」
「一週間、ですか?」
リンが、いや、凛が、驚いたような声で、組長に訊く。
「一週間だ。やり残したことは、やっておけ」
そう言い残して、組長は、いきなり消えた。
気づけば、凛が肩を震わせて泣いていた。
「凛」
凛は、僕が呼んでも、顔を上げなかった。
「ごめんね、海斗。もっとあたしが早く言ってれば、海斗もびっくりしなかったよね」
凛の言葉に、僕は首を振る。