あふれる涙のドロップス
「あたしは先に行ってるから」



 そう行ってリンはガラッと部屋の窓を開けた。



「?」



 僕が頭の上に、疑問符をたくさん並べていると__



「じゃ、お先に」



 リンはそう言い残して、窓の外へと飛び出していった__



「!!」



 僕は口をパクパクさせながら、ほとんど無意識のうちに、玄関へと向かっていた。



「行ってきます!」



 バタンと乱暴に玄関のドアを開けて、閉め、リンが飛び出していった窓の下にあたる庭へと大急ぎで向かう。


 
「リン!」


 
 自分でもわかるほど、声が荒ぶっていた。



「海斗?どうしたの?」


 
 聞き覚えのある、よく通る声が後ろの方から聞こえた。



「…リン。お前、窓から飛び降りたけど、大丈夫なのか?」


 
「当たり前じゃない。あたしはユーレイなのよ」



 呆れ顔で、リンは僕の方を見た。リンは、普通に地面に飛び降りて、普通に僕を待っていたらしい。



「さ、行こ」



 リンはさっさと僕の前を歩き、学校へと向かう。
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