あふれる涙のドロップス
…ガクッと疲れが来る。


 
 いらぬ心配とは、こういうことなのか。



  
 ところで、さっきから気になっていたことをリンに尋ねる。



「お前、中学校がどこに在るのか知ってるのか?」



「知ってるわよ」



 リンは、当たり前じゃない、というように唇を尖らせる。



「だって、何回も来てるんだもん。生きてたら、どんな中学校に通っていたのか気になるから」



 僕の胸が、ずきんと痛む。



 僕は、無神経なことを訊いた。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…


 
 何回も何回も心の中でごめんなさいを繰り返すけれど、その声は、君には届かない。



 *  *  *



「おぅ、立川」


 
 友人の葉山 隆(はやま たかし)に声を掛けられる。



「お前、数学のプリントやってきたか?俺、やってねーんだよなー。先生に見つかったらヤバいよなー。…っとあれ?お前、後ろにいるのって…」



 さっきまでベランベランと自分のことを話していた葉山が、僕の後ろにいたリンを見た。



「もしかして…カノジョとか?」



「…ちがっ」



「そ、付き合ってるの。今日から転校生。よろしくね」


 
 さらりと葉山に言い返した、リン。



 …僕とリンが、付き合ってる?
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