あふれる涙のドロップス
「おい…お前何言ってんだよ」



「だってそうでしょ、海斗。ほら、職員室まで付き合ってよ」



 そう言ってリンは僕の腕を引っ張る。



「立川…」



 呆然としている葉山を残して僕はリンに引っ張られるままに進む。



 *  *  *



 職員室の手前。僕はリンに向かって非難の声を浴びせる。



「お前さ…確かに本当のことを言う訳にはいかない。でも、付き合ってる、って…」



「あら、なんかダメだった?」



 そりゃそうだろ、と呟いて、僕は頭を抱え込む。


 
 誰と誰が付き合ってるなんて話、中学二年生にとっては大好物だ。その大好物に、僕はなってしまうのか…。



「いいじゃない。紛らわしいんだから、いっその事付き合ってるって言っちゃった方が早くない?」


 
 リンは腰に手を当てて僕に抗議する。


 
「それに___」




「…なんだよ」




「___なんでもない」



 リンは顔を俯かせて職員室のドアに手を掛けた。



「失礼します」



 海斗はここで待ってて__と目で合図されたのは、言うまでもない。 
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