あふれる涙のドロップス
 帰り道、てくてくてくとリンと肩を並べて歩く。



 そして、家に着く。



「で、お前…」



「ん?」



「どうやって家に入るんだよ」



「ああ、そんなのカンタンカンタン」



 リンは家の壁の方に歩み寄ると、壁に足をつけて、歩き出した。



「おいっ、リン!危ないぞ!!」



 きっとそう叫んだ時の僕の顔は、青ざめていたと思う。






 __大丈夫だから…__





 
 不意に、そんな声が耳元で聞こえた気がした。でも、僕の周りには誰も居ない。



 おかしいな。僕は、ふるふると頭を振った。




「かーいとー!」




 気がつけば、リンは僕の部屋の窓から手を降っている。いつの間にか僕の部屋にまで辿り着いたようだ。




「今行く!」



 僕はそう返事をして、家の中に入っていった。 
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