あふれる涙のドロップス
「飲むか?」



 僕は、リンにホットミルクを差し出した。少しだけ、砂糖を入れてある。



 リンはコクンと頷いて、ホットミルクの入ったマグカップを手に取った。



 一口ミルクを飲んでから、リンはぷはーっと息を吐いた。



「生き返ったみたい」



 リンはニコニコとそう言った。



「…実際そうなんじゃないのか?」



「うーん…。ちょっと違う」



 リンは、亡霊として、この世にいるだけ。この先のことは、__わからない__そうだ。



「生きてるあったかみを、感じられる」



 リンはマグカップを手で包み込むようにしながら言った。



 綺麗事には、聞こえない。本当の、優しくて温かくもあり、冷たくて残酷でもある、リンの心だった。



「お散歩したーい」



 リンが僕の方を見ながら言う。



「ああ…行こうか」



 僕とリンは、外に出る。







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