あふれる涙のドロップス
「寒くないか?」





 僕はリンに尋ねる。





「んーん。大丈夫。」





 リンは、鼻歌まじりに返事をする。この曲は確か__10年くらい前に流行った、アニメソング。僕も大好きだったアニメの主題歌だった。



 
「なあ、リン。その曲って__」



 

「あ、知ってる?」




 リンは、嬉しそうに訊く。




「この歌ね、あたしが大好きだったアニメの主題歌。いい曲だよね」




 そしてリンは、同じその曲__『PLEASANT』愉快という意味の曲を歌い出した。




「懐かしいな…」




 僕は、ふとそんなことを呟いた。




「ん?」




 リンが、首を傾げる。




「その曲が流行った頃、僕にも好きな女の子がいたんだ」




「えー、どんな子?可愛い子ー?」




「ああ、すごく可愛かった」




 僕は、一つ一つの言葉を噛みしめるように言った。





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