あふれる涙のドロップス
「だけど…」





 リンは、いつになく強い口調になって、





「本当に、優しい人なの」





 と、まるで僕に何かを伝えるように言った。





「大好きだったの」




 
 そう言った、リンの声は少し震えていた。





「リン___」





 僕はおろおろとリンに声を掛ける。




「…ごめん、ごめんね」




 リンの鼻をすする音が聞こえる。




 リンは、セーラー服の袖のところで、目元をゴシゴシとこすると、




「さ、お散歩の続きしよ!」




 と、笑顔を作って言った。
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