あふれる涙のドロップス
「お」




 不意に、リンが声を漏らした。




「ね、このお店入っていい?」




 目をキラキラと輝かせながら、リンが指さした先には、十代の女の子向けのブティックがあった。




「いいよ」




 
 僕は「わーい!」と言いながらブティックへと駆けていくリンの姿を見ながら言った。




 いらっしゃいませ、という女性の店員の声を背中に店内へと進む。




「わ、海斗、見てみて!このお洋服かわいいー!」




 ニット生地の、ピンクのワンピース。なんとなく、いちごチョコを思い出す。
 



「似合いそう」




 我ながらだが、今の自分の発言に一人で赤面。




「こんなの来てみたいなあ…」




 小さな溜め息とともに、リンは、弾んだ声で言った。






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