あふれる涙のドロップス
「お金は?」




「持ってない」




 思ってた通りだ。




「いくら?」




「3000円」



 ふぅ、と言いつつ、財布を開ける。



「ほれ」



 リンに渡したのは、千円札3枚。



「え!?」



 リンは本当にびっくりしたように僕を見た。ただでさえ大きい目を見開いて。



「海斗、いい、いいから!」



 リンは受け取った3000円を僕の方に出しながら、必死に言った。




「その服、買ってこい」




「でも…」




「僕が、それを着たお前を見たいから」



 リンは、白いほっぺたをピンク色に染めて、



「ありがとう」



 と小さな声で言った。
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