あふれる涙のドロップス
「…おやすみ」




「おやすみ~」




 陽気なリンの声が聞こえる。出会ってからまだ一日というのに、随分前から知り合いだったみたいだ。



 
 なんでだろ?




 なんか喋ってるとほっとするっていうか。




 …多分、あの子に似てるからだな。



 自分の中で、そう結論づけて、もう寝ることにする(僕はPM10:00になるとまぶたが降りてくるのだよ)。



 ガバっと布団にくるまって、寝る姿勢を整える。ちなみに僕は、必ず右のほうを向いて寝ないと眠れない。ミノムシのごとく布団にくるまり、右を向いたら、朝までぐっすりだ。



 ふとリンの方を見る。



 すやすやと穏やかな寝息を立てているが、カーペットの上じゃあ寒いだろう。



 僕はベッドから降り、床で眠っているリンを(こう言うとカッコよく聞こえるが)抱きかかえて、ベッドの上に置く(果たして『置く』という表現は正しいのだろうか?)。



 そして、僕はカーペットの上に寝転がり、クローゼットの中から毛布を引っ張りだして、眠った。
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