あふれる涙のドロップス
 …母さんに“勉強する”的なことを言ってしまったが、実際にはしない。



 僕はベッドにゴロリと寝転がると、天井を見つめた。



「ハロウィン、ねえ…」



 お化けなどを信じない僕にとっては、全く関係のない行事だ。毎年この時期になると、近所の子ども会の行事で、一軒一軒家をまわり、お菓子をもらう。




  __ご苦労なこった。




 僕はベッドから起き上がると、冷蔵庫から持ってきたオレンジジュースをゴクゴクと飲む。




 僕の名前は立川 海斗。近所の公立中学に通う中学二年生だ。成績は下から、身長から前から数えたほうが早い。




 要するに、言うまでもなく僕は、ごくごく普通の中学生だ。



 ゲームとカレー好き。ほら、ここを見ただけでも一般人だろ?




 ベッドの上にポンと置いてあるゲームの攻略本を手に取り、パラパラとめくる。




 なんだか眠くなってきた。こんな時は……。寝るのだ。



 僕はベッドに潜り込み、目をつぶろうとした、その瞬間。
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