あふれる涙のドロップス
「春山、付き合ってやれ]





「はい」





 春山と呼ばれたダークスーツの男は、静かに返事をして、あたしの方を向いた。




「春山俊彦(はるやま としひこ)と申します。宙組組長です。今日から七瀬 リン様の相方として活動していきます」




「…よろしくお願いします」




 あたしは頭を下げた。よくわからない世界だけど、まずは春山さんに着いていこうと思った。




「まあ、行けばわかるだろ。春山、リンを連れて行ってやれ」




「はい」




 春山さんは、組長の方からあたしの方に向き直ると、





「では参りましょう」




 と言って、両手を広げた。




「え……?」



 あたしははまた、光の渦に巻き込まれた。
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