あふれる涙のドロップス
「では、リンさん。朝日くんの額に、リンさんの額を合わせてください」




 言われたとおりにすると、朝日くんの額の冷たさが、あたしにも伝わる。




「それから、これからの朝日くんの幸せを祈ってください」




 あたしは必死に自分の額に意識を集めて、朝日くんの幸せを祈った。




 そのうち、朝日くんの額がぽかぽかと温まってきた。




「___これで、私達の仕事は終わりです。さあ、夜が明ける前に帰りましょう」




 そしてまた、春山さんは両手を広げる。あたしたちはまた、光の渦に巻き込まれる___。





 *  *  *




「おう、お帰り」




 組長はあたし達を見てニヤリと笑った。




「おいリン。随分疲れたみたいじゃないか」




 組長は手に持っていたファイルにボールペンで何かを書きつけると、静かに言った。




「だが、これが俺達の仕事だ。死神には出来ない。幽霊にしか出来ない仕事だ」



 その言葉に、あたしはコクンと頷いた。









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