あふれる涙のドロップス
「宙組、だ」




 幼い子どもの命を救う組、だ。





「お前の将来の夢、小児科医だったろ。思いっきり頑張ってくれ」





 組長は、ぽん、とあたしの手に大きな手を載せた。




 その途端、あたしの目から熱い涙の雫が流れ落ちた。




「……どうしたッ!?」




 組長が、びっくりしたようにあたしを見た。




 あたしは、ありがとうございます、ありがとうございますと小さく呟きながら、溢れる涙を手のひらで拭った。 




「……っ……ありがとうございます……」



 
 嗚咽混じりに、あたしは組長に向かって言った。




 ___組長の、優しさがほんとうに嬉しかったのだ。



 
 そんなあたしを、春山さんは暖かな目で見守っている。
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