あふれる涙のドロップス
「よおよお立川。お前七瀬と学級委員だぜ?もっと喜べよー」





 休み時間、葉山に早速絡まれた。





「……別に、付き合ってるわけじゃないし」





 わざと、ぶっきらぼうに答えた。





「立川はモテるんだよなあ。しかしそれを自覚していないという」




 
 葉山は一人でぼそっと呟いた。怖いやつだ。




「おい立川。お前、隣のクラスの南 遥香(みなみ はるか)とかいう奴が、昼休み理科室に来いとか言ってたぞ」





「えー…やだ。めんどいって言っといて」





「おいおい、南は結構モテるらしいぜ。モテる奴の告白現場に行かなくてどうするんだよ」





「めんどいのはめんどい」





 僕は机の中から音楽の教科書とリコーダーを出した。





「葉山、次音楽だろ?移動するぞ」





「ちょ待てよ。俺まだ支度してねーんだよ!」




 後ろでわめく葉山を置いて、僕は先に廊下に出る。
< 42 / 145 >

この作品をシェア

pagetop