あふれる涙のドロップス
「どうしたッ!」





 思わず理科室の扉をがらっと開ける。





「わわ!立川くん!」





 驚いたような顔をして、試験管やらビーカーを右手左手に抱えているのは……噂の南さん。





「ちょっと実験して遊ぼうと思ったら失敗しちゃった」





 そう言ってテヘッと笑う仕草は、……なるほど、確かにモテそうだ。





「……なんか用?」





 理科室の壁に寄りかかって、南さんに訊いた。





「あのね……」




 南さんは、天使の輪っかが映ったショートボブの髪を、するりとなでた。




「あたしのお願い、聞いて欲しいの」




 南さんは僕の前に来て、上目遣いで僕を見た。




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