あふれる涙のドロップス
「お願いしまーす!」




 我が男子バレーボール部では、声を出すことを目標に練習をしている。




 ユニフォームを身にまとい、とりあえずボールをポンポン打ってみる。




 こんなことをしていると、あたかもデキる奴に見えるが、そんなことはない。僕は恐ろしい方向にボールを飛ばす。そして、チームメイトに散々怒られる。





 それなのにスタメンに何故か入っているから不思議なもんだ。





「おい立川。ボケっとしたないで早くサーブの練習をしろ」




 部長の武藤 翔(むとう しょう)に文句をつけられる。




「ヘイヘイホー」




 わけのわからん返事をして、ボールを弾く。




「お前はやれば出来るんだからちゃんとやれ」




 武藤に更に文句をつけられる。




「結構真剣にやってるんだけど」




「これで?」



「これで!」



「なんだって?」



「まあまあ二人とも。落ち着け落ち着け」
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