あふれる涙のドロップス
「先生!」





 僕は、何も考えずに先生を呼んだ。





「ちょっと気分が悪いので、保健室に行っていいですか!」





「おい、大丈夫か?」




 
 心配して駆け寄ってきた向井先生に、




「大丈夫です」




 と、一言だけ告げると、僕は、校舎の中へ、駆け込んだ。




  *  *  *





 遠目から見ただけだから、確信はできないけれど、リンに似た女の子が、誰かに、無理矢理顔を近づけられているのが、ぼんやりと見えた。




 うっすらと頭に浮かぶ、悪い考えが、頭のなかでちらつく。




 グラウンドから見た時には、2年1組に、リンはいた気がする。




「はぁっ……、はぁっ……」




 グラウンド10周よりも、ずっと苦しい。



 

 だって、君の事が、心配だから____。
 

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