あふれる涙のドロップス
 2年生の教室が並ぶ、2階に着いた。




 1組の教室は、一番奥だ。




「………っ」




 バレーのユニフォームが、背中に張り付く。



  

 廊下に、ただ一人僕だけが走る音が、カンカンカン……と響く。





 1組が見える。1組が目の前になる。1組のドアが、手を伸ばせば届く位置にまでになる____。




 一瞬、ドアを開けるのをためらったが、今は自分よりも、リン、だ。




「リン!」




 振り向いた瞬間に揺れた、君のキャラメル色の髪は、とても綺麗だった。




「海斗……」




 僕を見た瞬間、ほっとしたのか、強張っていた顔は、ふわっとほぐれた。




「立川……」




 リンの、向こう側にいた、聞き覚えのある男の声の主は、武藤だった____。
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