あふれる涙のドロップス
「ふー……大変な思いさせちゃったな」




「んーん」




 リンはパソコン室のパソコンを勝手に起動させていじっている。




「キス……されたのか?」




「…………一回だけ」




「………あそ」




「…………」



 
 僕等の間に、沈黙が訪れる。




「海斗は、なんであんなに武藤くん?に怒ったの?」



 リンは、キーボードをカタカタやりながら僕に訊いた。すげぇ、ブラインドタッチだ……



「僕が、武藤に怒ったのは………そのー、なんていうんだ、うん。嫌だったから」



「ふーん……」



 リンは、何かを打ち終わったらしく、一回伸びをした。



 僕は、ずっとパソコンの前で立ちっぱなしだったことに今更ながら気付いて、椅子に座った。



 リンは、椅子をギシギシ言わせている。
 
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