あふれる涙のドロップス
*「あたしの想いは、何だったの?」*
「くっそ」



 舌打ち混じりにアタシは道路に転がっていた缶を思いっきり蹴っ飛ばす。



 でも、パコンというような間抜けな音しかしなくて、アタシのイラつきは一層大きくなる。



「ねぇ、遥香ちゃん。僕と付き合わない?」



 そんな言葉は、耳にタコができるほど聞いてきた。そしたらアタシは、



「いいよ、付き合お」



 と軽く言って、長くて3ヶ月、短くて2週間で、相手の男をフッた。



「だって、飽きちゃったんだもん」



 アタシがフッた理由を聞く男には、そう言ってやった。



 今まで本気で男を好きになったことなんて無い。


 
 ただ、アタシの顔が可愛いとか言って寄ってくる男が、今まで何人いた事か。



 顔に惹かれて寄ってくる男なんて、中身の無いのが多い。



 でも、男が隣にいないのも、なんか、ムカつく。


 
 だからアタシはこの中学に入ってからの二年間、アタシのお飾りとして告ってきた男を彼氏とした。その代わり、お飾りなんて、どうせすぐ飽きる。男のほうから振ってきたことなんかない。アタシが、いつもフッた。



 そんな時の事だった。
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