あふれる涙のドロップス
入り口に立ち尽くしているアタシに気づいた男子バレー部の一人が、声をかけてきた。
「何か用?」
結構キツイ口調だった。
「えっ、あっ、あの、その、バレー部の、部長に、ちょっと女子テニスから、知らせたいことがあって」
しょうがない。この嘘に関しては許してもらおう。
「じゃ、武藤行ってきてくれ」
武藤くんは、黙ってアタシの方に来た。
「一回、外、出よっか」
アタシは武藤くんの手首を掴んだ。
「何」
ぶっきらぼうな声で、武藤くんはアタシに訊いた。
「ごめん!」
アタシは頭を下げた。